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がん情報ナビゲーターに関するコラム

もっと知ってほしい、がんのこと

川上祥子 さん

川上 祥子 さん
1992年早稲田大学卒業。国際線客室乗務員経験後、東京医科歯科大学医学部看護学科へ。卒後、東京大学附属病院放射線科病棟、都内クリニック乳腺化学療法外来担当を経て、現在は渉外・広報担当理事として、NPO法人キャンサーネットジャパン専任。

 皆さんこんにちは、私はNPO法人キャンサーネットジャパン(以下CNJ)で広報等を担当しております、川上 祥子(かわかみ さちこ)です。国際線客室乗務員を経て看護師に、という変わった経歴ではありますが、「十分な自由が保障されていない方々のニーズを満たすサービス業」、という視点で、この二職種には共通点があると思っています。

 さて、私は2000年より、CNJにて、がん患者支援活動に携わってきましたが、活動を通して最近痛感しているのは、もっと多くの人に、もっと正しく、がんのことを知ってほしい、ということです。この記事をお読みになった方には、是非とも「がん医療サポーター」として、がんについての理解を深めるメッセンジャーとして、一人でも多くの方に「がん」を知ってもらうことに貢献していただきたい、と期待しています。

 これから4回に分けて、がん医療のことを、分かりやすくお伝えしていきたいと思いますので、どうぞ、よろしくおつきあい下さい。

第1回 がんを知る

 皆さんは、一生のうち、どのくらいの人が、がんになると思いますか?
 2006年に厚生労働省が発表したデータによると、日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人が、がんになる、ということです。また、日本人の死因の1 位は、がん。3人に1人が、がんで亡くなっています。データ的に考えれば、自分か、または自分の大切な人が、がんになる・がんで亡くなる、とも言える状況です。一方、そんな身近な病気であるにもかかわらず、一般の方はいうまでもなく、医療職ですら(がん治療を専門としている医療職以外は)、がんについて系統的に正しい知識を得る機会が殆どありませんでした。

 「がん」とひとくちに言っても、発生した部位や進行度によって、非常に多岐にわたる様相を呈し、それぞれに推奨される治療方法も違ってきます。がんを知る機会や方法は、テレビや書籍、身近ながん体験者等人によってさまざまで、がん解釈は「手術すれば簡単に治る」「医学の進歩でがんは克服できる」といったライトなものから「すぐに死んでしまう」「痛い、苦しい病気」等のヘビーなものまで人それぞれ、というのが現状ではないでしょうか。しかし、もし自分が、または大切な人が、がんと直面したら・・・、そのときは、その人自身のがんについて学び、理解する必要があります。

 さて、人生には進学や就職、結婚など、重要な選択や決断をせねばならないことが度々ありますが、納得のいく選択をするためには、「自分を知り、相手を知ること」が大切だということは皆さん実感されていると思います。がんの治療方法選択についても同様、自分らしい納得のいく選択は、自分自身の望みを知り、治療法を含めて、自身のがんを知ること、から始めなくてはなりません。命のかかった重要な決断をしなくてはならないのですから・・・。

 しかし、あとでもご紹介しますが、日本のがん患者の半数以上が、自分の治療方法に納得していない「がん難民」であるとの報告もあり、日本のがん対策の遅れは、昨年のWall street journal(日本の日経新聞に値する経済紙)にも紹介されたほどの現実があります。この状況を改善するためには、一人でも多くの国民が、がんのことを知り、備えておくことが必要です。がん患者になってから知るのでは、遅いのです。

 がんのことをもっと知りたい、大切な人に知ってもらいたい、と思って下さった方は、ぜひ一度、東京大学医学部放射線科准教授の中川恵一先生ご著書「がんのひみつ」(朝日出版刊、税込み714円)をお読みになってみて下さい。がんについて、一般の人にも非常にわかりやすく書かれている、軽くて小さくて、ポケットに入れて持ち歩ける、お勧めの「がんの教科書」です。

第2回「標準治療」と日本のがん医療の現状 に続く